人の「呼吸」という行動は肺の肺胞内に入り込んだ空気から酸素を「間質の毛細血管」から体内へ吸収することです。間質性肺炎とは突発性肺線維症など様々な病型の総称ですが、症状としては酸素を吸収する肺の間質を中心に炎症を起こし繊維化が進む病です。多くの間質性肺炎の原因は不明であり、西洋医学による治療治癒は難しいという特徴を持ちます。しかし西洋医学「対処療法」による繊維化の抑制と東洋医学「漢方」による酸素吸収率の向上を目指すことで改善は可能です。
1.間質性肺炎とは
間質性肺炎と一般的に謳われている疾患は発症率が一番高い突発性間質性肺炎を意味します。
間質性肺炎は肺の間質が繊維化し酸素の吸収率が低下する病です。
間質性肺炎による症状
肺の間質の繊維化が起こることで空咳が続いたり病の進行と共に歩くことや上り坂など、体を動かすと息切れを起こすようになってきます。
間質性肺炎は、肺に取り入れた空気から酸素を吸収する間質が繊維化していくことで体内への酸素吸収率が低下していく病です。
間質性肺炎を患いながら他の病を患うと「急性憎悪」という容体の急変を起こす可能性があります。
間質性肺炎病型種類別解説
・突発性間質性肺炎
「慢性・突発性・通常型」の3種類をまとめて突発性間質性肺炎と呼びます。
・急性間質性肺炎
数日から数週間という短期間で発症し症状が悪化するタイプの間質性肺炎です。
・非特異性間質性肺炎
「女性・非喫煙者・50代未満」の方の発症率が高い間質性肺炎です。
・膠原病生間質性肺炎
自己免疫疾患である膠原病から発展しやすい間質性肺炎です。
・その他
上記以外の間質性肺炎で多くは原因が不明のものなどです。
2.間質性肺炎の原因
間質性肺炎の中で割合が高い「慢性・突発性・通常型」を有する突発性肺炎の原因はわからないことが多いです。
原因が特定できる間質性肺炎は稀です。
間質性肺炎の多くは原因不明
間質性肺炎の多くは原因がわからない突発性間質性肺炎です。
現代の医学では間質性肺炎は原因不明の病として取り扱われており、難病指定もされております。
ただ、稀ではありますが突発性間質性肺炎以外の間質性肺炎では原因が特定できる場合もあります。
羽毛やカビ、薬剤、石材、アスベスト、超硬金属などで発症する場合もあり、これらが原因で発症した間質性肺炎は特定が可能です。
肺が繊維化する仕組み(自己免疫疾患)
間質性肺炎は自己免疫疾患とよく似た特性を持ちます。
間質性肺炎の主症状である「肺の繊維化」は肺で起きた炎症/修復を繰り返すことでおこります。
具体的には「肺に傷が付く⇒修復のシグナルとなる成長因子が修復を指示する受容体と結合する⇒マクロファージと繊維目細胞がコラーゲンを使い修復する」という工程で肺の修復は行われます。
しかし間質性肺炎の場合は、修復が終えているのに修復の指示が出続けることでコラーゲンが蓄積し繊維化が起こります。
3.間質性肺炎患者が生活上注意すること
間質性肺炎患者さんは間質性肺炎を悪化させる可能性が高い要因を「避ける/予防する」必要があります。
それはタバコの影響や、風邪などの体調不良をきっかけに「急性憎悪」を起こす可能性があるからです。
不適切な生活環境
間質性肺炎は生活環境の影響を受けやすい疾患です。
日常の健康を保つことはもちろんですが、症状を悪化させるものも存在するので注意が必要です。
その中でもタバコを吸う喫煙行為はやめるようにして下さい。
またご家族など、同じ生活環境での喫煙者も間質性肺炎患者にとって有益ではありませんので注意する必要があります。
体調不良はリスクを増やす
間質性肺炎を患っておられる場合は「急性憎悪」に特に注意が必要です。
急性憎悪は風邪など、体調を崩した際に起こる可能性がある容体の急変のことで、急激に症状が進行してしまいます。
予後が短くなる可能や最悪の場合は死に至るケースもありますので日々の体調を整えることが重要です。
4.間質性肺炎治療のポイント
間質性肺炎は現代の「西洋/東洋」医学では治癒できない病です。
治療で大切なことは症状の進行を抑えることと残された肺の機能を引き上げることです。
間質化による問題
突発性を含む全ての間質性肺炎症状による呼吸の問題は、肺から血液への酸素供給が減少することです。
症状の進行に伴い、体に取り込める酸素量も減少していくため徐々に呼吸が苦しくなってしまいます。
さらに繊維化を治癒する=肺の間質を元の状態に戻すことは西洋医学にも東洋医学にもできません。
線維化していない間質を守る
一般的には間質性肺炎を放置すると肺間質の繊維化は進行し続けてしまいます。
繊維化の進行が進むと身体への酸素供給率が低下し息苦しく辛い症状がかさみ私生活を送ることが困難になります。
間質性肺炎の治療で重要なことの一つは「症状(肺繊維化)の進行を止める」及び「進行するスピードを低下させる」ことです。
残された間質の働きを高める
間質性肺炎の症状を改善させるには肺の機能を改善し酸素の吸収率を上げる方法が得策です。
例えば今残された間質の能力が50%だとすると、残された間質の機能を更に5%に引き上げることができれば体感的にも体調的にも症状の改善が可能です。
この改善には東洋医学「漢方」の知識治験が必要不可欠です。
5.病院で行われる間質性肺炎の治療
間質性肺炎が治療できる医療施設は呼吸器内科を有する病院となります。
病院で複数の検査を行い間質性肺炎と診断された場合には、間質性肺炎の進行を抑制することを目的とした薬物療法を行います。
診断するための一連の検査
医師による身体所見
身体を診ることで間質性肺炎を発見する方法は胸部の聴診音による判断が一般的です。
一般的臨床検査
間質性肺炎か否かを診断する検査が一般臨床検査となります。
・胸部画像検査
X線やCTスキャンを使った画像解析診断です。
いわゆるレントゲンを用いて目視による間質性肺炎の判断や進行具合を確認します。
・呼吸機能検査
酸素を取り込む能力を測定する検査です。
主に肺活量検査を行い疾患の重症度を見極めます。
・血液検査
血液検査によってわかることは大きく分けて2つです。
炎症の強さを調べるには「CRP/LDH」を指標にし、肺組織の破壊度合いは「KL-6/SP-D」を指標にします。
特殊検査
間質性肺炎の病型を調べる検査が特殊検査です。
主に組織を採取し型を断定します。
・気管支鏡検査
内視鏡を口から気管支内に挿入し疾患部のサンプルを採取する検査です。
局部麻酔が必要なので入院が必要となります。
・外科的肺生検
BALやTBLBで正確な病型の診断がつかず、かつ治療の必要性が高い場合に呼吸器外科に依頼し行う検査です。
症状進行の抑制(対処療法)
間質性肺炎の状態によって治療方法は異なります。
進行が進み酸素吸収率が低い場合は呼吸のサポートを、それ以外は病の進行を抑制する治療方法が一般的です。
・薬物療法
上記の検査を経て、間質性肺炎の病型と病状の進行具合を把握した上で、マッチした抗繊維薬を処方します。
ただ、必ずしも効果(病状進行の抑制)が見込める訳ではなく、副作用が出る場合もあるので経過観測を行う場合が多いです。
・酸素療法
酸素吸収率が低下し血液中の酸素が不足して日常生活に支障が出る場合には酸素療法を行います。
自宅では酸素濃縮機や液体酸素のタンクを設置し鼻から吸引します。
外出時には小型の酸素ボンベを携帯し外出します。
6.間質性肺炎の漢方治療
漢方の五葉館薬局では、治らないと言われる間質性肺炎を肺の機能を高める治療方法で改善を目指します。
東洋医学の知見から見た肺機能を高める漢方療法と西洋医学の視点から見た肺機能のサポートを両立し酸素の吸収率と運搬率を高めます。
東洋医学で診る肺
東洋医学は西洋医学と全く別の概念を持つ知見と結果の医学です。
数千年にも及ぶ漢方治療の知見では肺の炎症をピンポイントで見るのではなく、東洋医学の肺:呼吸器全体の昨日不全という捉え方、西洋医学とは全く異なる視点と治療方法でケアします。
漢方では肺に対し気血水と五臓六腑という概念に基づき肺に潤いを与える処方を、その方の現状の体のコンディションに合わせて提案します。
炎症を抑制し繊維化を抑える
数ある生薬の中には肺に良い物と、そうでない物、また肺の状況によっても選択肢は無数にあります。
その中で間質性肺炎に良い物とは、炎症と修復という肺の繊維化を抑制してくれるものが患者様にとって良い物なのです。
炎症/修復を抑えるとは、血液検査数値のKL-6を低くすることにあります。
KL-6は肺という特殊な部位での炎症=病状が進む速さを示す数値なのです。
漢方の五葉館薬局では、このKL-6を低くすることを目指し治療を行います。
身体が吸収する酸素量を高める「吸収率向上」
間質性肺炎治療で最も重要なことは、現在機能している間質の酸素吸収率の向上です。
自然界に存在する生薬や自然薬にはそれぞれが育つ環境や地域特性によって様々な効果を有しています。
間質性肺炎の状態は、標高が高く空気が薄い環境下で生活を送ることに類似しています。
このような環境下に生息する高山植物には空気から酸素を吸収する能力を底上げしてくれる物が存在しています。
このような自然薬や生薬を処方することで肺からの酸素吸収率を高めることは可能なのです。
酸素運搬率の改善「血流改善」
東洋医学の考えでは数千年にも及ぶ治験において「肺:呼吸器官」は「心:循環器」と繋がっており、なおかつ心は肺に影響を与えると考えられています。
つまり「心:循環器」が「肺:呼吸器官」を支えるので血液循環をバックアップすることでも症状の緩和目指します。
西洋医学的にも血液循環の効率が上がると肺から吸収された酸素の全身への供給率が高くなるので息切れなどの疲労が緩和されることになります。
これらの西洋医学の視点と東洋医学の視点の双方のアプローチを行い、肺に対し機能を底上げが可能な治療を組み合わせることで当店では間質性肺炎患者様の症状の改善を行なっています。