黄斑変性症は別名として「加齢黄斑変性症」と呼ばれるほど、年を経り年齢が高くなると発症しやすい目の病です。加齢とは代謝が低下し、体の細胞や組織が老化してしまうことであり、黄斑変性症は老化による影響を色濃く受ける病です。黄斑変性症は回復が難しい病なので、発症を未然に防ぐことと、発症した場合には進行させないことが重要となります。
1. 黄斑変性症とは
黄斑変性症とは、加齢に伴う老化現象によって、目の中にあり黄斑を含む網膜と呼ばれる部分が歪むことで視力が低下する目の病です。視力の低下、と一言では片付けられないほど、黄斑変性症は様々な視覚異常を発する厄介な目の病です。
網膜と黄斑の働き
網膜はカメラで例えると映像を映し出すスクリーンに該当します。網膜には視細胞が集中的に集まっており、人が物を映像として見るために必要不可欠な目の部分なのです。この網膜の中心に位置する部分が「黄斑部」と呼ばれる部分で、細かいものを識別したり色を見分ける働きを行うなど、特別な働きをする大切な部分なのです。
黄斑変性症の症状
黄斑変性症初期の症状は「ものが歪んで見える・中心が見えにくい・視界の真ん中が灰色に見える」などのわかりやすい症状が多く、症状が進行すると「真ん中が真っ黒に見える・徐々に見えなくなる」という具合に変化していきます。
2. 黄斑変性症の原因と種類
黄斑変性症の主な原因は加齢による老化です。老化によって老廃物の排出効率が悪くなることで黄斑を含む網膜組織に影響が出てしまうことと、長い期間を経ることで紫外線や活性酸素によるダメージも悪影響を及ぼします。
黄斑変性症の原因
黄斑変性症が発病するメカニズムとして「加齢」が大きく関与しています。加齢とはすなわち老化を意味するもので、網膜の黄斑部の老廃物処理の能力が低下し、黄斑部に老廃物が滞留することで、網膜組織に異常をきたすと考えられています。目の老化と隣り合わせにあるものが紫外線や活性酸素で、これらの影響によっても目はダメージを受けています。
黄斑変性症の種類
・萎縮型黄斑変性症
日本人に少なく欧米人に多い黄斑変性症で、網膜構造「網膜・網膜色素細胞・脈絡膜」のうち網膜色素細胞が萎縮してしまうことで視覚異常を引き起こすものが萎縮型黄斑変性症です。
・滲出型黄斑変性症
欧米人に少なく日本人に多い黄変変性症で、網膜構造「網膜・網膜色素細胞・脈絡膜」のうち脈絡膜に異常に血管(新生血管)が張り巡らされ網膜を変性させます。
早期発見が大切
網膜は水晶体のように人工物と交換することができません。つまり不調をきたしダメージを受けた網膜は再生ができないので、より大切にしなければなりません。現代の医療では回復は難しいですが、早期発見によって進行を遅らせることはできます。
3. 黄斑変性症の治療方法
黄斑変性症は発症してしまうと治すことができない目の病です。現代医学では発症後の進行を遅らせる治療法しか存在しておらず、根本的な解決策はありません。しかし老化を進行させる紫外線や活性酸素から守ることは予防にも繋がり効果的な療法と言えます。
一般的な治療方法
黄斑変性症の治療で最もポピュラーな治療方法は「抗血管新生療法」という目に直接注射を行う方法です。黄斑変性症の主な原因である新生血管の増加を抑える薬剤を注射することで黄斑変性症の進行を遅らせます。この治療は注射回数が多いので患者様の中には敬遠される方もおられるほど精神負担が大きな治療です。
家庭でできる予防とケア
黄斑変性症の主な原因である老化は、目に直接浴びる紫外線と体内に蓄積してしまう活性酸素も大きく影響しています。つまり日中は紫外線から目を守ってあげることが大切ですし、年齢を重ねるごとに蓄積してしまう活性酸素を低減させることもとても大切なのです。そしていつまでも目を生き生きと保つためには、目の栄養環境を整えることも忘れないでくださいね。