加齢に伴う緑内障の原因と対策

目から得た情報を脳に伝達する視神経に支障をきたし、徐々に視野を奪っていく緑内障。最悪の場合は失明に至る場合もある目の病です。原因が不明な部分も多い病ですが、直接的な原因は眼圧の上昇による視神経の損傷と言われています。緑内障は早期発見早期治療がポイントとなり、早期治療を行えば回復はしないものの進行を遅らせることは可能です。

 

 

1. 緑内障とは

緑内障とは目から取り入れた視覚情報を、脳に伝える視神経に不具合が生じることで視野が徐々に狭まり見えなくなってしまう病です。加齢に伴い発症することが多く、40歳以上の17人に1人が発症してしまう発症率の高い目の疾患です。

 

 

 

緑内障の症状

緑内障の初期症状はわかりにくく進行が非常に遅いのでほとんど気がつきません。
症状がある程度進行すると視界上に黒い斑点ができたり、視野そのものが狭くなり、見ない部分が出てきたりします。
症状が進行するにつれ、失明してしまう可能性もある恐ろしい目の病です。

 

緑内障の種類

緑内障の種類は多く分けて原発開放隅角緑内障と原発閉塞隅角緑内障の2つが存在し、開放と閉塞からさらに種類が分化します。

 

・原発開放隅角緑内障水と呼ばれる目の中にある水の出口(繊維柱帯)が徐々に詰まってしまうことで、水の増加とともに徐々に眼圧が上昇し症状が進行するタイプの緑内障です。
・正常眼圧緑内障

眼圧の正常値は10~21mmHg)と言われています。しかし正常な眼圧でも人それぞれの耐久性によっては支障きたすレベルになることがあります。日本人の緑内障は正常眼圧緑内障が7割を占めています。

・原発閉塞隅角緑内障

房水を排出する通路が詰まるのではなく、狭くなり閉塞するタイプを原発閉塞隅角緑内障と呼びます。緑内障を発症するメカニズムは眼圧の上昇隣開放型と同じです。

・続発緑内障

目の外傷や目の病気「角膜・網膜・炎症」などの目に関する疾患によって眼圧が上昇したり、ステロイドなどの薬剤の影響で眼圧が上昇し緑内障を誘発したものを続発緑内障と呼びます。

・発達緑内障

生まれつき緑内障をもつものを発達緑内障と言います。先天的(遺伝的)な要因なのですが、緑内障メカニズムとしては眼圧の上昇が関係しています。

 

2. 緑内障の原因

どの緑内障も発症の原因となるきっかけは眼圧の上昇であり、眼圧の上昇に伴う視神経の損傷です。原因はわかっているのですが痛みなどの自覚症状に乏しく発見が遅れやすいという特徴があります。

 

 

 眼圧が高まる

目の眼圧の原因は目の中にある房水と呼ばれる水分が関係しています。房水の量は一定に保たれるため、房水の出口である繊維柱帯から排出されます。
しかし房水の出口が狭まったり、詰まったりすることで房水の排出率が低下し溜まった水が内から外に向け圧力をかけることで眼内にある視神経にダメージを与えてしまいます。
その結果、目からの情報伝達が滞り、この状態を緑内障と呼びます。

 日本人に多い緑内障

緑内障の中で日本人に多い疾患が「正常眼圧緑内障」です。
眼圧が正常値にも関わらず視神経にダメージを受けてしまいますが、日本人には基準値の眼圧でも高い圧力になっている可能性が高いということです。
正常眼圧緑内障患者に多い特徴が「冷え性・低体温・低血圧」など血流が悪い方に多い傾向にあるのも見過ごせない事実です。

 

3. 緑内障の治療方法

緑内障を患ってしまうと残念ながら根治は見込めません。原因となる眼圧を下げて視神経のダメージを労わり、病の進行を遅らせることが現代の治療となります。その治療を受けるためにも検査による早期発見がポイントです。

 

 

緑内障の検査

緑内障は自覚症状が出ない初期の段階でも目の検査を行うことで早期発見が可能です。40代を過ぎたら定期的な検診を受けることが早期発見につながります。

・眼底検査

緑内障を発見するために視神経の状態を確認する検査です。主に視神経乳頭部を観察し圧力による変形(凹み)具合で判断します。

・視野検査

視野範囲の確認によって緑内障の進行具合を確認する検査です。緑内障特有の見え方や視野率で進行具合を判断します。

・眼圧検査

緑内障の治療の経過を確認する検査です。目の表面に検査装置をあてる方法と目に空気をあてる方法の2種類の検査があります。

 

 眼科による治療

眼科による治療は点眼薬を使用する、もしくは外科的処置の2つです。どちらの治療も房水排出を促し眼圧を下げる治療です。

・点眼薬治療

点眼薬(目薬)による緑内障の治療では眼圧を下げるために2種類の点眼薬を使います。一つ目は房水の分泌を抑制する点眼薬で、もう一つが房水を目から排泄する働きを促す点眼薬です。

・外科的処置

上記の点眼薬治療を行っても、緑内障の進行が止められない場合は 房水の出口(繊維柱帯)に対し排出を促す外科的処置を行います。一つはレーザーを繊維柱帯に照射するレーザー療法で、もう一つは手術で繊維柱帯の一部を切除し房水が流れる道を作る処置です。

 

緑内障と漢方

緑内障(正常眼圧)患者の特徴を漢方的に診ると血虚(冷え性)を持つ方がとても多いです。
そして正常眼圧緑内障の方は冷え、すなわち血流が悪いので眼底血流も悪いという結果が出ています。
漢方を適材適所で用いることで冷えを改善し眼底血流を改善することが可能なのです。