目の黒目にあたる角膜の上皮にて障害が起こることを角膜上皮障害と言います。角膜上皮障害は角膜に傷が付いたり、傷から細菌やウイルス感染することで起こる目の病気です。角膜上皮障害の治療は眼科による点眼薬や眼軟膏を用いることが一般的ですが、最も大切な改善予防には眼に良い環境を保つこと、抵抗力や自然治癒力を高めることで外傷から守ることです。
1. 角膜上皮障害とは
全5層からなる角膜外側の上皮に障害が発生することを角膜上皮障害と言います。
目に異変が表れやすいので障害発生時に発見されやすい目の病気です。
角膜上皮障害の症状
軽傷の場合、症状が出ないこともありますが、涙が止まらなかったり、充血、めやに、角膜の一部が濁る場合もあります。
そして角膜上皮障害には複数もの種類が存在しますが、目の表面で障害が発生することによって痛みを感じることもあります。
角膜上皮障害の種類
角膜上皮障害には点状表層角膜症から角膜びらん、そして角膜潰瘍の順に状態がひどくなり3種類に分類されます。
・点状表層角膜症:角膜上皮細胞が欠損したり、一部めくれたりする状態です。角膜上皮障害の中では一番軽傷とされます。
・角膜びらん:角膜上皮細胞が部分的に取れてしまった状態です。比較的軽傷の部類ですが、繰り返してしまう再発性角膜びらんという状態になる人もおられます。
・角膜潰瘍:角膜上皮細胞が欠損し、障害が角膜実質にも及んでいる状態です。角膜内皮障害の中では最も深刻な状態なので注意が必要です。
2. 角膜上皮障害の原因
角膜上皮障害の主な原因は、角膜への物理的な外傷です。
この外傷をきっかけに細菌やウイルスによる感染へ発展し重症化することもあります。
角膜への損傷
・角膜への外傷:目をこすることで起こる擦り傷やツメによる切り傷、異物混入による角膜の損傷などの外傷が角膜内皮障害へのきっかけとなります。
・コンタクトレンズ:コンタクトレンズの謝った使用方法も角膜への外傷や、細菌やウイルス感染の原因にもなります。
・ドライアイ:目の環境を悪化させるドライアイも角膜上皮障害のきっかけとなります。涙の量が少ない「涙液減少型」と涙の蒸発が早い「蒸発亢進型」ともに注意が必要です。
外傷から感染疾患へ
日常生活でおってしまう外傷やコンアクトレンズの謝った使用、ドライアイなどによって角膜上皮細胞に傷がついてしまうことで角膜上皮障害「点状表層角膜症・角膜びらん」に繋がってしまいます。
その傷を負った角膜上皮に細菌やウイルスが感染することで、角膜上皮障害では重い症状である「角膜潰瘍」を発症するリスクが高まります。
3. 角膜上皮障害の治療方法
角膜上皮障害の治療は、まず上皮障害が起こっているか検査し、起こった症状に対し治療を行うことです。
そして眼の外傷から回復するための抵抗力や治癒力を高めることです。
角膜上皮障害の発見
まずは、目の違和感や痛みなどや、角膜上皮障害特有の涙が止まらない「流涙」、目の充血、いつもよりも目やにの量が多い、またはめやにが出続けるなどの症状がある場合、直ちに眼科へ検査に行きましょう。
これらの症状は角膜上皮に外傷や異常があることを示しますので、しっかりと検査を受け病状を確定させることが重要です。
眼科による角膜上皮障害の治療
一般的な角膜上皮障害の治療は点眼薬「角膜保護治療薬・抗生物質」がメインとなります。
そして、それぞれの角膜上皮障害の原因を改善することです。例えばコンタクトレンズが原因であればコンタクトレンズの使用をやめるなどです。
ドライアイが原因であれば、人工涙液を点眼し目の環境を改善します。
角膜上皮細胞が損傷している場合には、眼軟膏を塗り眼帯を行い眼を清潔安静に保ち治癒を行います。
あまりに重度な角膜障害を起こしている場合には角膜移植が必要になることもあります。
漢方による角膜上皮障害のケア
感染症による重篤な角膜障害を起こさないためには、身体の抵抗力(免疫力)や自然治癒力を高めることが重要です。
自然治癒力が高まることで角膜上皮障害の原因となる外傷に対し大きなアドバンテージを得られ、抵抗力を高めることで外傷からの感染症を予防できます。
さらに東洋医学では眼のトラブルは五臓六腑の「肝・腎」の働きが衰えているために起こると考えられています。
つまり、目の機能を「肝・腎」を立て直す漢方で身体の内からケアしてあげることで目のトラブルも減らすことが可能なのです。