西洋医学の治療方法は、病によって起こる症状を緩和させる対処療法です。中世のヨーロッパが発祥の医学であり、現在発展を遂げている現代の医療技術です。エビデンス〔科学的根拠〕を重視し、症状を病と捉え症状をいかに抑えるかを研究してきた学問です。つまり、西洋医学は症状を抑えることを考え発展してきた医学なのです。
1. 西洋医学とは
西洋医学とはヨーロッパを起点として発展してきた医療技術です。その治療方法は病によって起こる症状に対処することを目的とした薬物療法や手術療法です。
ヨーロッパ圏発症の医学
中世のヨーロッパでは、宗教的な教えにより病を治すことは禁じられていました。
しかし、ルネサンス時代の到来により、現代医学の礎となる解剖や薬の効果の検証が行われるようにったのです。
この医療に対する動きが、後の「西洋医学」に発展を遂げ現代医学に繋がっています。
エビデンス〔科学的根拠〕を追い求める
西洋医学は、病の症状に対し、どうすれば症状を抑えられるか?
または何故症状が治まったのか?
という症状を沈静させることについてのエビデンス〔科学的根拠〕を追い求めてきた医学です。
それに対して、
東洋医学は、どうすれば病が治るか?
病を起こしているおおもとの原因は何か?
という原因解決の結果を追い求めてきた医療です。
つまり、
西洋医学は症状を抑えるために科学的な検証や臨床を重視し発展してきた医学です。
2. 西洋医学が対処療法と言われる所以
西洋医学は、悪くなった患部を治癒させるために「症状を抑える」そして「治せない場合には取り除く」という治療を行います。
なぜ、患部が悪くなってしまったのか?という原因に対してはアプローチしないため
症状重視の「対処療法」と呼ばれています。
症状を抑える治療
病や不調の症状は痛みや苦しみを伴うため、体感としても「つらさ」を伴います。
西洋医学が得意とする治療は、より迅速にこのつらい症状を抑えることを目的としています。
例えば、風邪をひいた時に出る熱に対し解熱剤を用います。
これは、発熱による体力の消耗を防ぎ、風邪のつらい症状を抑えるためです。
アトピーなどの痒みに対しても「痒み」を抑える治療を行います。
しかし、症状を抑えることは得意ですが、根本的な原因へのアプローチは希薄なために「対処療法」と呼ばれます。
悪い部分を取り除く
西洋医学の治療は、つらい症状を抑える医学です。
言い換えれば、つらい症状を発生させる原因(患部)に対しては、「悪さをするなら取り除く」というアプローチをして治療を行います。
これは、まさに、悪くなった部分(患部)を治しているのではなく「対処を行っている」療法と言えます。
3. 漢方ではできないことが西洋医学ではできる
東洋医学の漢方療法にはできない治療アプローチが西洋医学にはあります。
それは、痛みや痒みなどのつらい症状をすぐに抑えること、外科的処置(手術)、感染症対策です。
西洋医学には悪くなってしまった患部を切除するという手術療法が存在しますが、東洋医学には手術するという考えがありません。
東洋医学では悪くなってしまった患部の原因に対しアプローチを行う医療です。
しかし、手術が必要な局面も存在しますので、その場合は西洋医学の技術力が必要となります。
辛い症状を緩和する
漢方治療の概念は「根本治療」です。
つらい症状を抑えるのではなく、症状は必要だから出ているのであって、その症状の原因を治療し改善する療法が漢方であり東洋医学です。
しかし時として、症状はつらく耐え難い場合もあります。
その場合には、西洋医学の症状を緩和する治療がとても役に立ちます。
4. 西洋医学の治療プロセス
西洋医学(病院)での治療プロセスは、患者様の症状から疾患を確定させることから始まります。
治療の流れとして「問診→検査(必要に応じて)→治療」を行います。
問診
西洋医学の問診は、ドクターとの会話によって行われます。
この時、症状について詳しく聞かれたり、直近の生活習慣(食事内容)などを聞く場合があります。
そして多くの場合、聴診器を使い体内の音を聞き、場合によっては患部を押えることで痛みのポイントや以上個所を調べることがあります。
検査
問診によってある程度予測された疾患に対し、病状を確定させる工程が検査となります。
もちろん、問診だけで判断できる軽微な症状の場合もありますが、検査が必要な疾患に関しては「血液検査・レントゲン・組織検査」などを行い疾患を確定させます。
治療
西洋医学では、問診や検査によって断定された疾患(問題)に対し治療を行います。
この治療方法には大きく分けて「投薬治療」と「手術療法」が存在します。
病の種類や重症度に合わせて、投薬治療で改善が可能な場合は投薬治療を行います。
悪い部分を取り除く必要がある場合には、手術療法による外科的処置が施されます。