病状と体調に合わせて漢方を選ぶ東洋医学の問診方法

漢方を調べていると「気・血・水」や「症」という言葉を聞いたことがあると思います。これらの言葉は、病の種類や進行状態を特定し、対象者の身体の状態を特定する判断指標です。詳しく病状や漢方を処方する患者の状態を定める問診方法は、現在の患者にとって最適な漢方を選定するために用いられます。

 

 

 

 

1. 病状をはかる「気・血・水」と「五臓」

東洋医学の漢方治療による歴史的知見を体系化し病状を定める問診方法があります。

それが気血水と五臓です。

 

 

 

気血水は不調を探るものさし

漢方の基本的な概念、東洋医学という学問で定められた考えでは
「気:目には見えないエネルギー」
「血:全身をめぐり栄養を運ぶ血液」
「水:血液以外の生理的な体液の総称」
という3要素が滞りなく巡り、バランシングすることで健康は保たれると考えられています。

・気:精神領域を表す言葉で、「元気・気持ち」などの気そのものを指す指標です。東洋医学の表現では「気逆・気帯・気鬱・気虚」などがあり、症状としては「頭痛・胸の詰まり・息苦し・無気力・疲労感・食欲不振・イライラ・のぼせ」などがあります。

・血:血液を主としますが、東洋医学では血液だけを指すものではありません。東洋医学の表現では「血虚・お血」などがあり、症状としては「月経異常・便秘・腹圧・貧血・血行不良・乾」などがあります。

・水:消化液、水分代謝など血液以外の生理活性に必要な液体や免疫を指す指標です。東洋医学の表現では「水毒・水虚・水滞」などがあり症状としては「むくみ・めまい・下痢・頭痛・排尿非常」などがあります。

 

 

2. 東洋医学「漢方」で表される五臓について

気・血・水という不調をはかる指標に続き、病状や不調の特定に使われる概念が「五臓」です。

五臓とは東洋医学で表される「臓器」のことで、西洋医学の臓器と名称は似ていますがアプローチが異なるため「似て非なるもの」となります。

 

 

五臓で病状や不調の箇所を特定する

漢方の概念では人体に存在する臓器を「五臓」という言葉で表します。

五臓は「肝・心・脾・肺・腎」の五つに分類され、それぞれが個々の役割を持ち、相互作用すると考えられています。

東洋医学では気血水と五臓を用いて現状の患者の不調や病状を特定します。

・肝:すべての臓腑の機能調整を行う中枢であり、臓器機能が滞りなく行われるための調節機能を持ちます。影響が表れる身体の部位としては「目・爪・筋」が挙げられます。

・心:全身に血液を送り出すポンプ(西洋医学での心臓)のような役目を果たし、「精神・意識・思考」を調節すると考えられています。影響が表れる身体の部位としては「舌・顔」が挙げられます。

・脾:消化吸収を司り、消化器官のコントロールを行う中枢として機能します。その他には血液や血管の状態を維持し血液循環もサポートしています。影響が表れる身体の部位としては「口・唇」が挙げられます。

・肺:皮膚、粘膜といった全ての呼吸を司り、気と水を全身に巡らせる働きを行うと考えられています。その他には、皮膚の状態や免疫力にも関与しています。影響が表れる身体の部位としては「鼻・皮膚・気管」が挙げられます。

・腎:成長、発育、生殖機能を司り、排尿などの水分代謝をもコントロールしていると考えられています。影響が表れる身体の部位としては「骨・耳・髪」が挙げられます。

 

 

3. 病の段階をはかる「六病位」

気血水により不調の概要を定め、五臓によって不調病状の断定を行えば、次には不調の進行状況を調べます。

この診察に使われるものが「六病位」という考え方です。

 

 

 

病状の進行具合/現在の位置を特定します。

不調や病を六つに病状に分類するものが「六病位」ですが、六病衣については身体の状態(コンディション)を指し示す「症」という概念も必要になります。

大きく「太陽病期・小陽病期・陽明病期」と「太陰病期・少陰病期・厥陰病期」の2つの病状に分類され、そこから各3つのステージに分類されます。

この病状分類を行うことで、より詳細に必要な漢方処方を導き出すことが可能となります。

 

 

 

 

 

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