脂肪は悪者ではありません。

脂肪が好きな人は少ないでしょう。それは脂肪細胞が膨らむと見栄えが悪くなり、身体が重くなって負担がかかるからです。しかし脂肪細胞が存在し膨らんでくれるから少ないこそ私たちの日々の健康が守られていることも忘れてはいけません。太り続けることは良くないことですが、太れるうちが花なのです。

 

 

 

1.脂肪細胞の役割

脂肪細胞の役割は大きくわけて2つあります。1つが食べすぎなどで余らせてしまったエネルギー源の貯蔵および飢餓状態時の予備エネルギーとしての役割です。そして2つ目がホルモン分泌による代謝をコントロールする役割です。

 

 

身体を守る

なぜ脂肪細胞が膨らんで太ってしまうかというと、それは、太ることで身体を守っているのです。主なエネルギー源には「糖質」と「脂質」がありますが、どちらのエネルギー源もエネルギー(ATP)に変換する場合には血液を使って細胞内のミトコンドリアまで運搬します。つまり、必要十分なATP生産が終えている状態になっていても、体にはエネルギー源が余っているとすると、糖質や脂質は血管/血液内に滞留することになります。これは、血液の流れをドロドロにし、糖によって血管が傷つき炎症が起こるようになってしまいます。この状態から身体を守るために、速やかに余らせたエネルギー源を脂肪細胞に蓄えるのです。

 

ホルモンの分泌

脂肪細胞は余らせてしまったエネルギー源(脂質/糖質)の貯蔵だけを行う訳ではありません。脂肪細胞からはエネルギー代謝に関わるホルモン類(アディポサイトカイン)が分泌されています。アディポサイトカインには善玉ホルモンの「アディポネクチン/レプチン」や悪玉ホルモンの「TNF-α」などがあります。脂肪細胞は脂肪の貯蔵具合によって身体にとって必要なホルモンの分泌を高める働きがあり、恒常性の一部を担っています。

 

 

2.脂肪を蓄えるメカニズム

脂肪細胞が膨らむメカニズムとしては、まずエネルギー源を摂取し、余ってしまったエネルギー源を中性脂肪に変換し貯蔵するという流れです。

 

 

 

食事でエネルギー源を摂取

食事から摂取するエネルギー源が脂肪の原料になります。例えば、ご飯などの糖質を摂取すると、糖をエネルギー源として使いたいので血液中に糖を散布します。これが、血糖値が上がるという状態です。この状態で糖はエネルギー生産機関(ミトコンドリア)に運ばれ、身体に必要とされるエネルギー(ATP)を必要な分だけ生産します。この時すべてをATPに変換できれば問題無いのですが、必要以上に摂取したエネルギー源が余った状態となって身体に滞留すると良くないので安全な状態で貯蔵されます。

中性脂肪として脂肪細胞へ貯蔵

食事によって余らせてしまったエネルギー源を安全な状態で保存することが脂肪細胞の役割です。余らせてしまったエネルギー源は脂肪細胞へ貯蔵される際に「中性脂肪(トリグリセリド)」という形で貯蔵されます。つまり、日々の食事で余り続けたエネルギー源が日々中性脂肪に変換されどんどん貯蔵されていくことで、脂肪細胞は膨らみ続けます。これが「太る」という現象なのです。脂肪細胞が貯蔵し膨らんでくれることで私たちの身体は守られていますが、貯蔵には限界があります。

 

3.脂肪細胞貯蔵の限界

脂肪細胞は余ったエネルギー源を蓄えることで身体を守ってくれていますが、貯蔵には限界があります。限界付近で糖尿病予備群になり、限界になると重度の糖尿病になります。

 

 

 

貯蔵限界=糖尿病

太れるということは身体を守ってくれている状態で、その状態のまま太り続けるとやがて貯蔵の限界、「これ以上太れない」状態に達します。脂肪細胞の貯蔵限界が近づくと、蓄える場所が少ないので、血糖値が下がりにくくなります。これが糖尿病の入り口で、この状態でも糖を代謝するために肝臓にムチを打ちインスリンの分泌を促し続けます。この脂肪細胞は「もう蓄えれません」、肝臓は「余ったエネルギー源を何とかしなくては」という押し問答の果てに肝臓が疲弊しインスリンが枯渇した状態が重篤な糖尿病なのです。

貯蔵限界には個人差がある

最終的には「太る=糖尿病を防ぐ」ということになりますが、太れる量には個人差があります。これは脂肪細胞の膨張率や性能そのものが人それぞれだからです。だからこそ、日々健やかに生活するためには、脂肪細胞をコンパクトに保っておく必要があるのです。そのために、太りやすい年齢になってきたらダイエットや太らない食養生は身につけておく必要があります。ただし、痩せれば何でも良いわけではなく、脂肪細胞を縮めることが大切で、脂肪細胞を取ってしまうことは良くありません。

 

4.身体に良くない痩身術

痩せるプロセスには脂肪細胞を縮める方法と脂肪細胞を取り除く方法の2つが存在します。しかし後者の取り除く方法は、後に身体的なリスクを招く可能性があります。

 

超音波機器

痩身エステサロンで行われている超音波機器による脂肪細胞の融解は、痩せやすい痩身術であることに間違いはありません。しかし、安易に脂肪細胞を無くしてしまう行為は、貯蔵庫として身体を守ってくれる機関を破壊していることになってしまいます。つまり、貯蔵限界量が下がってしまうということは太ってしまったときに大きなリスクを抱えることになりかねないということです。

脂肪吸引

美容整形などで度々用いられる痩身術として脂肪細胞を吸引して取り除く処置があります。この脂肪吸引も、貯蔵限界を下げる行為と同じなので、後のリスクが高まってしまいます。脂肪細胞はどんどん増える細胞では無く数に限りがありますので、痩せるのであれば脂肪細胞を縮める減量方法がリスクが少なくおすすめです。

 

 


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